vol.4は、グッぼるの常連さんクライマーの中で最も高身長且つロングリーチクライマーの青木陸太氏。普段ジムでの青木氏は、ニコニコ楽しそうにテンション高くセッションしていたかと思うと、セットしたタイマーを見ながら寡黙にトレーニングを励む集中した様子と、そのギャップが印象的です。余程のことが無い限り週3~4日はトレーニングを含め来られています。青木氏のムラのない努力に影響を受けておられる常連さんも多いはず。その努力を続けられる背景が知りたくてインタビューをお願いしました。
キッカケ
クライミングとの出会いは大学に進学した時。元々スポーツや体力に自信が無かった青木氏は、何気なく山岳部の勧誘トークに共感し入部。速攻で「シマッタ!ガチな山岳部やった!どうしよう....」と、後悔されたそうですが、辞められない空気感満載で、結局卒業までの4年間継続されたそうです。しかも後半は主将まで努められたとか。その頃は山岳全般の活動で特にクライミングに集中した時期がなく卒業。大学院に進んだ時に漠然と「5.12を登りたい」と目標を決め、本格的にクライミング中心の毎日が始まったそうです。
燃え尽きたかもしれない、けれど
「5.12を登りたい」と目標を掲げてから平日はジムで自分なりに組んだトレーニングメニューをこなす毎日。福岡で通っていたジムには青木氏用のキャンパスボードが設置されていたそうです。土日は岩場通い。1年程で思いの外すんなり達成してしまいその後も努力をし続けた結果、2年10ヶ月で5.14bまで到達されました。しかもなんとシーズン中に東海地方の「蓬莱」で14台を3本も完登されました。スポーツにあまり自信の無かった自分が自分流の練習の積み重ねで大きな目標を成就することができ、これまでに味わったことのない充実感を感じたそうです。
がむしゃらに頑張っていた日々の中で、クライミングを通して自分の限界を超える喜びを知り「こうやって僕はずっとクライミングを続けて行くのだろう」と確信しておられたそうです。大きな目標を達成した頃ちょうど就職1年目が過ぎ仕事に追われる毎日となってしまった青木氏は、所謂「燃え尽き症候群」のような状態になっていかれたそうです。がむしゃらに頑張っていたクライミングから少し距離ができてしまい、 目標を達成する前は「一生続ける存在」と確信していたモノから、今は「何となく続けている。何かのきっかけで止めることもあり得る存在」となってしまったクライミング。そう聞くと、執着心が無くなりモチベーションも下がってしまった様に一見思いますが、インタビューを重ねていくにつれ、そうではなくむしろ逆なのかなぁとがいう事が分かってきました。
種火を絶やさない
ユイ「何となく続けている。何かのきっかけで止めることもあり得る存在のクライミングに対して逆に何故そんなにコンスタントに努力し続けられるんですか?」
青木氏「自分の性格に合っているし、他に無心になって楽しいと思えるモノが無い。登らない日々が続くとこのままじゃ弱くなってしまう、という不安感に襲われる。結局気がつくと登ってしまっているし、ブランクを埋めるべくトレーニングをしてしまう。」
ユイ「マイナスを埋める為の行動原理の様ですがクライミングに魅了されていなければこんなに努力を継続できないと思うのですが。青木さんにとってクライミングの魅力は何だと思いますか?」
青木氏「多分分かりやすいというでしょうか。出来るか出来ないか。登れたか登れなかったか。努力の結果がハッキリと分かるのが良いですね。」
ユイ「実は日々のトレーニングの先には何か目標が有ったりするんですか?」
青木氏「具体的には無いですが、またいつか数年前に目標の5.14bを登った時の様な感動を噛みしめたいなぁ、とは思います。そしてボルダーでもグレード更新(RP5段)出来たらなぁ。」
ユイ「チャンスがやってきた時の為に種火を絶やさず灯し続けておく、という事ですね。」
青木氏「そうですね。まぁ、昔ほど頑張れないですけどね(笑)。」
そう言いながらタイマーを見てキャンパを始める青木氏。 努力できる人ほど本人は満足する事がなく足りていないと思っている。だからこそ努力し続けることができるのでしょう。青木さんの種火はこれからもずっと絶えることはないでしょう。そして再び燃え尽きることのない大きな炎に変わる日がとても近いような気がしました。


