グッぼるコンペ壁(スラブ)について

2018年7月より新たに増築されたグッぼるコンペ壁(スラブ)。横幅7mのボルト穴のない85度ツライチの本格スラブ壁。最新ホールドを使用した豪華ラインセットはスタッフが入れ替わりで毎月8課題作製。6級から初段までを目安に作製し初級者から上級者まで楽しんでいただける壁になっています。今回はそんなコンペ壁(スラブ)を一人でセットするようになって感じたことをお話していきたいと思います。
グッぼるコンペ壁

スラブとは

スラブとは主に傾斜が90度より前傾している壁のことを言います。傾斜が無い分、基本的にホールドは持ちにくく構成されていることが多く、主に下半身の重心移動で登っていくイメージがあります。クライミング全般は上半身で登っていく印象が強いですが、スラブに関してはその真逆のジワジワと登っていく傾斜になっています。よくあるパターンは力の強い男性よりも身体が軽くバランス感覚に優れた女性の方が上手く登れるなんていう光景をよく目にします。僕自身もスラブに対して苦手意識が強く、どこか強引な登り方になっている感覚はずっとありました。

スラブセットするようになって

実際に一人でスラブをセットするようになり、この傾斜の奥深さを痛感している今日この頃。写真の壁は初めて一人でスラブセットしたときのものですが中間部にボリュームホールドが多く、今振り返って見てみると手で引いたり抑え込んだりして登っていく課題が多くスラブっぽさがあまり出せていませんでした。

中々スムーズに納得のいくスラブセットが出来ないと思い悩んでいた頃に、グッぼるコンペ壁初のゲストセッター笠原大輔さんのセットを間近で見る機会がありました。スラブの名セッターとして有名な笠原さん。課題が出来るまでの流れや壁全体の仕上がり、試登してからの修正の速さまですべてが新鮮で勉強になりました。その中でも特に印象に残っているワードが「整合性」という言葉です。例えばスタートのフットホールドは滑りそうで繊細なのにゴールはガバ足で緊張感がない、このような状況を「下部と上部で整合性がない」と課題の統一感についてをこの言葉で表現しておられました。実際に笠原さんの課題はどのグレードも登っていて常に緊張感があり、繊細で気が抜けない印象を強く受けました。

プロセッターは何を意識してセットしているのかを考えてみた

より繊細なフットワークを求めて

笠原さんのセットに感銘を受けてから特に意識するようになった「課題の整合性」。写真のものは今回のスラブセットのものになりますが一回目と比べて中間部にボリューム系のホールドが少なくスッキリとした仕上がりに。繊細な重心移動とフットワークが求められるスラブになるように「ノーハンド」の要素が含まれるよう意識して作製。スラブ特有のドキドキ感が顕著に現れ、力の強い男性から体の軽い女性まで皆が平等にワルいと感じられる課題に仕上がったかと思います。毎回修正点は多くスムーズにいかないことがほとんどですが、今回のセットは課題の内容を含め、全体の仕上がり、作製時間も過去一番納得のいくものとなりました。スラブセットするようになり足置きや重心移動、ホールドの観察、腰の開きなどを考えるようになってから自分自身のスキルも向上したと感じています。

スラブの魅力とは

大人から子供まで幅広い層から人気を集めるスラブ。根本的に力がないと登れない傾斜壁とは違い、やればやるほど感覚が研ぎ澄まされ、恐怖心が徐々に薄れていく過程が多くのクライマーを魅了しています。ドキドキ感の先にあるスラブ特有の達成感を味わえるのが人気の要素なのかもしれませんね。僕自身もそのドキドキ感に魅了された一人でもあります。
 

まだまだセッターとして未熟ではありますが課題を提供する立場として日々研鑽し、一人でも多くのクライマーに気づき与えられるような課題作りを目指してこれからも精進していきたいと思います。