国内外コンペでBMIの基準が採用開始
日本国内でもJMSCA(日本山岳スポーツクライミング協会)により2021/11/11「選手低多重対策に関わる規定」が制定されました。BMIを基準にして国内コンペで強制力を持った規定が定められたのは初となります。国際的なコンペを主催するIFSCの意向に沿う形です。IFSCでは2012年以降、定期的にBMI検査が実施されていました。また2021年からは準決勝に進出した選手全員に検査が行われています。ロクスノや海外メディアでも話題に上がっていたクライマー低体重の問題。これで一律のルールとして低BMIを防ぐことにつながります。
JMSCA低BMI対策はまずは主要コンペから実施
対象となるコンペは以下となっています。今後追加される予定もあるとのこと。
- ボルダリング/リードジャパンカップ
- ボルダリング/リード日本選手権
- コンバインドジャパンカップ
BMIの計算方法と下限値
もともとBMI(Body Mass Index)はボディマス指数と呼ばれ、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数です。子供には別の指数が存在しますが成人ではBMIが国際的な指標として用いられています。
BMI=体重(kg)/身長(m)/身長(m)
そして今回の対策で制定されたBMIの下限値は以下のようになっています。
女子
- 20歳以上 17.6
- 19歳 17.5
- 18歳 17.3
- 17歳 17.0
- 16歳 16.6
- 15歳 16.2
- 14歳 15.7
男子
- 20歳以上 18.5
- 19歳 18.0
- 18歳 17.6
- 17歳 17.1
- 16歳 16.6
- 15歳 16.0
- 14歳 15.5
もし計測の結果が下限値を下回っていた場合には医師の診断等を受けたのちに一定期間の出場停止となることがあります。また検査の拒否はレッドカード扱いとなり、それ以降の大会に参加できなくなります。そのため制限もはっきりと持たせた内容となっています。選手自身はもちろんながら周りの指導者も知っておくのは大事な数値です。
「選手低体重対策に関わる規定」
https://www.jma-sangaku.or.jp/information/detail.php?res_id=1636630812-209321
体重と関係性の強いクライミング競技
審美系の競技(フィギュアスケート、体操など)や持久系競技(マラソンなど)は体重と関係が強く、連想されるアスリートの体型は細いイメージがあります。スポーツクライミングも競技中に体重を支え続ける点でかなり大きな要因を体重は締めることでしょう。競技中はぶら下がり続けるリードでは特に顕著。「今日は体重が軽いから調子が良く感じる」といった感覚を登りで体験し、「体重が軽い=登れる=勝てる」といった意識も芽生えやすいと言えます。体重を落とすことで登れるようになる感覚を得るより、正しいトレーニングで強くなることを認識していくことが大切になってきます。
「LIGHT」がクライマーへ考えさせること
公開されてから話題となり続けているYouTube動画「LIGHT」。再生数も20万回に近づく勢いです。クライマーが体重にこだわる意識について問いかける内容となっています。実際に競技者としてもトップの実力を持つクライマーが出演。アメリカのカイライトナー選手は知っている人も多いのではないでしょうか。それぞれがリアルな体験として語られています。非常にインパクトがあると同時に全否定しているワケでも無いのが印象的。同じ境遇にいる当事者への共感と第三者的な人々からの視点で捉えられています。
出演者アンジー氏の意識が変わった後に完登するシーン
動画の後半で女性クライマーのアンジー氏が自身のプロジェクトとしていた「Freak of the industly」を完登する場面があります。カチ系の真っ向勝負な課題。トレーニングと打ち込むことをバランス良く行い完登に近づいていきます。なんと打ち込むこと60日以上トライ。負のスパイラルとも言える状態から脱却していく過程が感動的なシーン。また脱却したのちに「世界が変わる」と話している言葉にも説得力があります。日本語字幕も選択できるようになっているのでサラッと見るだけでも選手の実情を知るきっかけになります。
現実として危険な精神疾患である摂食障害
エンドロールでも紹介されていますが摂食障害は精神疾患の中で最も死亡率が高くなっています。そして摂食障害者の70%以上が医療機関での治療を受け付けない状態。多くは周囲からの社会的な偏見が圧力としてなっています。周知の問題として認識が広まり、選手へのコーチングを含めた負担の無い接し方が今後も実施されていくが重要となります。


