滋賀代表を目指して
今年の10月に開催される三重国体。その大会に出場するためには選考会で代表権を獲得しなければなりません。スポーツクライミング競技はリードとボルダリングの2種目で行われます。まだリードの経験が浅い僕は選考会までの一ヶ月間、少しでも持久力を向上させるために長物課題でのトレーニングに励みました。今回は選考会に向けて取り組んだ長物課題を打ち込み続けて感じたことについてお話したいと思います。
痛感する持久力不足
クライミングを始めて7年、これまで長物課題などの持久力が問われる課題やトレーニングは一切取り組んだことがありませんでした。手数の短いボルダリングとはまた違い、長物課題はグッぼるにあるもので30~50手程あります。物によってはもっと長いものもあるかもしれません。分かりやすく表現するならボルダリングは短距離走、長物課題は長距離走といった感じです。
今回打ち込んだ長物課題(赤トラバース)は全部で45手あり、13a/bのルートグレードが設定されています。核心パートはボルダーでも1級程度あり、加えてそのパートが最後にあり後半はほとんどレストポイントがないハードな設定になっています。
ムーブをバラし繋げトライを開始した4日目以降のこと。何度をやっても同じところで落ち続け三分割するのが精一杯。ムーブをわかっていながらも繋げられない現実。この時初めて自身の持久力の無さを痛感しました。自分のクライミングがいかに無駄な力を使っているのか。上半身に頼った登り、力みすぎたホールディング、あらゆる要素が力任せになっていることに気が付きました。このルートを完登するためには一つ一つの動きを洗練させ「効率的な登り」を身につける必要がある、そう確信しました。
下半身の重心移動と緩急を意識した登り
トライを開始して10日目。ゴールまであと4手というところまできました。ここまで来たらあとはひたすら打ち込むのみ!そう思いトライし続けましたが力尽きてはヨレ落ちを繰り返す日々。完登するためにはあと少し何かが足りない。上手くいく時とそうでない時は何が違うのか、これまで撮りためた映像を何度も振り返り思考しました。
前に述べた「効率的な登り」とは一つ一つの動きを洗練させることだと漠然と思っていましたが、より噛み砕いて自分なりに考え導き出した答えは“下半身を軸とした重心移動”と力を温存する“緩急を意識した登り”でした。クライマーのスタミナの制限の要因となる局所持久力をいかに分散させ温存しながら登ることが出来るか。コーディネーション主体のクライミングでは乳酸が溜まるといかに動けなくなるのか、それはクライマーであれば誰しも身を持って実感していると思います。
より重心を下半身に、常に全力ではなく脱力するポイントはより力を抑えて、この2点を意識して迎えたトライ15日目。流れるようなムーブ、下半身を軸とした重心移動、これまで苦戦していたのが信じられないほどスムーズに手は進み気づけば核心パートに。ここまで温存してきた力を発揮させました。あと4手、3手、2手、そして...。15日間打ち込み続けた長物課題についに終止符を打つことができました。不思議なもので登れる時はいつも呆気なく、その瞬間は突然訪れます。この時は嬉しさより驚きの方が強く、しばらくの間じっと壁を見つめながら呆然としていました。
伸びしろを感じた新たなる可能性
短い手数で複雑な動きを行うボルダー課題とはまた違った難しさがある長物課題。今回この長物課題を通じて持久力が向上したのはもちろん、一つ一つの動きに対する力の加え方やホールドの効かせ方など、これまで見えていなかったところに意識が向くようになり登りの精度が一段階上がったと感じています。
先日行われた選考会では残念ながら代表権を獲得することは出来ませんでしたが、そこに向けて取り組んだトレーニングの成果が活かされたいい内容になったと思います。今はまだ更に成長出来る自分に期待して、次の目標へ向けて長物課題でのトレーニングを継続していきたいと思います。


