クライマーを虜にするムーンボードとは

ムーンボードとはイギリスのロッククライマー「ベン・ムーン」氏が考案したトレーニングボードです。クライミング界のレジェンドとも称されるベン・ムーン氏、おそらくクライミング界では知らない人はほとんどいないでしょう。今では専用のアプリが開発され連動するとLEDで課題を表示出来たり、作製した課題を世界中のクライマーと共有出来たりと画期的な性能が追加されています。しかしそれは2016年以降のモデルの話、グッぼるにあるムーンボードはなんと2014年の初代モデルとなっており、僕が知る限りだと日本には2個しかないとのこと。今回は希少な初代モデルの魅力とムーンボードで得られる効果についてお話ししていきたいと思います。

外岩を彷彿させるホールド構成

ムーンボードの大きさは幅2.44m、高さ3.15mで傾斜が130度の面一となってます。縦18列、横11列のホールドを取付けるボルト穴が存在し、約140個のスクールホールドと呼ばれる専用のホールドで構成されています。

カチ、ピンチ、ポケットと細かいハンドホールドしか付いておらず、正体ムーブやスタティックな動きを強いられることが多い印象を受けます。故にどの課題も外岩を彷彿させる内容に仕上がっており岩場のトレーニングにはうってつけ。高さも3.15mと通常のジム壁よりも低く安全に登ることが出来るのも嬉しいポイント。

2016年以降のものは様々な機能が追加され、世界中のクライマーと同じ課題が共有出来たりと楽しむ要素が盛り込まれていき徐々に認知度が広まって行きました。対して2014年モデルのものはLEDもアプリもなく黙々と登りこむような岩場に近しいイメージ。加えて新しいモデルのものよりホールドが細かく仕上がっており、このワルいムーンボードをお目当てに遠征に来られるクライマーも少なくありません。それぐらい今となっては希少なモデルの物となってます。

効率良く体幹と保持力が鍛えられる

ムーンボードをやることで得られる効果は登っているだけで効率良く体幹と保持に効かせられる、これに尽きると思います。高さはさほどなく課題の手数も短いですが、130度の強傾斜を細かいホールドのみで繋いでいくのだから一手一手のムーブの強度も必然的に高くなります。岩場で強烈なボルダームーブをひたすら繰り返しているようなイメージに近いです。ジム課題とは違い消滅することがなく、長期にわたり残っているため繰り返し同じ課題を登ることでき、成長をより実感しやすいものとなってます。

充分なリスク管理

ムーンボードはイギリス発祥のためグレード表記はフレンチグレードになります。グッぼるにある課題表は6a(4級)~7c+(三段)まであり課題数は200以上。6a(4級)と言っても4級の難しめの位置に相当し、加えて傾斜が強い分ある程度の技術や保持力が身に付いていない状態でと登ると無理なムーブを起こしていまい最悪ケガしてしまう可能性も考えられます。3級がコンスタントに登れるぐらいの登攀能力が身についてからやることをオススメします。グレードが上がるにつれホールドは少なくなり、一手ずつ足をきって上半身のみで抑え込むデッドやランジといった強度の高い動きが増えてきます。身体への負荷は大きくやり過ぎてしまい指を痛めてしまった経験もあります。とても効果的なトレーニングだからこそ身体への負荷をよく考えて、やりすぎない様に心がけています。

真っ向勝負なムーブの連続が魅力

トレーニングにもなるけれどリスクも有るムーンボード。ついつい〇〇が痛いと言いつつもやってしまう.....そんな「ムーンボードジャンキー」と呼ばれる常連クライマーさん達を惹きつけるムーンボードの魅力とは何なのでしょうか?僕自身感じているのは単純明快フィジカリーな動きが楽しいからだと思います。細かいホールドしか存在しない強傾斜の面一ではフックやキョンなどはあまり効果を発揮せず純粋に強いフィジカルが求められます。足をきって上半身でそれを抑え込む真っ向勝負なフィジカルクライミング。絞り込んだ一手を止められた時は、心地よささえ感じられる程です。気がつくと1、2時間すぐに経ってしまいます。もちろんクールダウンは怠らずに登ったあとのセルフケアも徹底して取り組んでいます。短い時間で登りながら体幹と保持力を鍛えるにはとても効率的なトレーニング、上手く活用してこれからも継続していきたいと思います。

世界最難「Burden of Dreams V17」のオマージュ

グッぼるのムーンボードにはサポートクライマーの亀山凌平くんによる世界最難課題「Burden of Dreams」の模擬課題が存在します。国内外問わず次々と高難度の完登に成功している彼でさえも二度のツアーで登れずにいる世界最難課題。驚異的なその難易度を模擬的に体感することが出来ます。世界最難を体感出来る唯一無二の貴重なムーンボード、グッぼるにお越しの際は是非触れてみてください。ちなみに模擬課題は足自由で離陸するのが精一杯でした。