安定期や伸び悩みは常に避けたい
伸び悩む。漠然と調子が上がらない。ルーティン化したトレーニングの結果、いくら繰り返しても実力の向上を感じられない。時間をかけてトレーニングをしているのにと悩む。「これ以上のパフォーマンスは望めないのか」と不安に陥るプラトー(安定期)。それに対してどう対処するのが効果的なのか。糸口が見つからないままでは、自発的なモチベーションも低下してしまいます。
トップクライマーでも意識してプラトーを避けている
世界的な高難度ルートを登るアレックス・メゴス。2017年から3年に渡ってトライし初登した「Bibliography(書誌) 5.15d」。世界最難グレードあり、途中のムーブ強度はボルダーの4段以上とも。これだけ身体的な限界を突き詰めるルートでも連日トライすることに関してインタビューで
「I think generally just trying one route, is not very beneficial for your physical.」(たった1本のルートをトライし続けることは身体能力的には良くない。)」
とメゴス自身がコメント。1本のルートを長期間トライすることはムーブを知り尽くして前進するように思いますが「使わない筋力」は必ず存在し総合的にいずれ後退。まさに実力がプラトーへ陥ります。それを避けるために動画「ロットプンクト:ビブリオグラフィー」でメゴスはツアー中に吊り輪でトレーニングやアップをする様子が映っています。
プラトーに入らない指標を持つ
闇雲にたくさんトレーニングをしても効果は期待できません。効果が出るトレーニングを複数持つことが大切です。それぞれのクライマーで現状に合わせた効果が出る内容とは何か。その都度で見極めて実行すればパフォーマンスは上がります。プラトーの対策となる3つのポイントをご紹介。以下の3つの観点からトレーニングを組むのがおすすめです。
1.いつもと違うことをする(Progressiveness)
意図的にメニューを変えましょう。アップして課題を登って毎回同じトレーニング。それがたとえ、意味あるトレーニングルーティンであったとしても体は慣れ”順応”して効果は無くなります。同じギアでも違う部位のトレーニングや動作は数多くあります。普段キャンパスボードで懸垂しているなら、ぶら下がりの保持時間を伸ばす。片手ぶら下がりを目指す。ヘリコプター。ガストン。浅く持つなどです。
2.筋持久力を鍛える(Muscle endurance)
瞬間的な筋力はすでに備わっているのにそれが登りに活かされていないケース。クライミングにおいて無呼吸の1手で終了する課題の方がかなり少数。これは前腕の問題だけではなく全身です。1回ホールドを保持した後の体勢のキープに関わるため スタートから「決めるトライ」の向上にも役立ちます。1回登れる課題であれば3回繰り返して登れるようにする。3秒間ごとに1手進めるメトロノームトレーニング。スローパーを繋いで登るなどです。
3.フォームを見直す(Reform)
各々のクライマーに備わった強い筋力は違います。そしてムーブで無意識で動かしている体の部位も様々。フォームを改善する。つまり意識してチカラを入れる箇所を変えることです。クライミングはほんの小さな改善の積み重ねが完登の確率を上げます。フットホールドの踏み方でも体重のかけるベクトルは手前なのか、真下なのか壁方向なのか。意識することで変えられます。自分のムーブを動画で見比べてみる。他のクライマーとの違いを発見する。運の良い方はコーチや上手いクライマーに聞いてみるのも時短になります。
戦略的なクライミングへ(Strategy climbing)
プラトーを感じている方はこれら3つのポイントを意識すると効果的に上達します。こうした戦略的な発想のクライミングはユースや大人を問わず活用できます。達成に必要な時間や途中で気持ちが途切れる、ケガで長期休養といったリスクが減ります。初段を登る。V14を登る。WCで優勝する。こうした目標をより遠くに置き、その過程をより戦略的に考えていきましょう。


