キッズ教室のトレーナーとして伝えたいこと

グッぼるキッズを担当するようになったのは確か2018年の夏頃、もう2年も経つのかと思うとなんだか感慨深いです。昔から子供の面倒を見ることは好きだったので任されたときは嬉しかったし、ジムスタッフとして子供達にクライミングの魅力を伝えていきたいという思いもありました。

子供のうちにクライミングを始めさせたい

全身を使うクライミングは子供にとってとても自由なもので、登りきることの小さな成功体験が達成感や自己肯定感を育み、その経験が自信となり精神面での成長にも繋がります。自分自身も登り切ることの達成感や出来ないことが出来るようになる喜びがたまらなく楽しく、のめり込んできました。クライミングは本当に素晴らしい文化です。出来る事ならば子供の頃に始めたかったと心底思います。

子供にとっての先生とは

キッズを任されるようになって子供達から“先生”と呼ばれるようになりました。はじめは違和感しかありませんでした。子供の頃を思い出し先生とはどのような存在であったか、それは子供にとってどんな答えも導き出してくれるスーパーマンのような存在でした。グッぼるキッズの先生とは単純に登れることだけでなく、子供の気持ちになって考えそれを伝えられる技術が必要だと考えます。子供達にとっての本当の先生になれるようにクライミングをもっと学びたい、そう思います。

内気な女の子だからこそ

はじめは思うように行かず失敗の連続でしたが慣れるのにさほど時間はかかりませんでした。そんな慣れてきた頃に一人の女の子との出会いがありました。常連さんの娘さんのミライちゃん。当時はまだ年長さんでとてもおとなしく内気な印象の女の子でした。

とにかく子供から学ぶことが多い

ミライちゃんがグッぼるに通うようになっておよそ一ヶ月、少し慣れてきた頃合いをみてグッぼるキッズで行っているダイナミックストレッチを教えることにしました。しかし恥ずかしがって中々やろうとしてくれません。教え方が悪いのかと思いやり方を変えてそのまま続けましたが結局ほとんど教えることはできませんでした。それどころかこの出来事がきっかけでしばらくの間ミライちゃんは登りに来なくなってしまいました。  

子供にはとにかく笑顔で明るく接していれば大丈夫だと思っていましたがそうではないことをこの時身を持って実感しました。とても嫌な思いをさせてしまったと深く反省、色んな性格があり自分の気持に素直な子供達とどのように接したらいいのか、これまでの経験を振り返りもう一度考え直すことにしました。

クライミングキッズが壁を乗り越える気持ちとは

まず第一に“目線を合わせる”ことが大切だと考えます。子供からしたら自分より遥かに大きい人から話しかけられたら誰だって高圧的に感じます。しゃがんで目線を合わせる、そして何かを教える時はわかりやすいように体でも表現する、この2点を徹底するように心掛けました。そうするようになってから自分自身も子供の表情をよく観察するようになり、より考えるようになっていました。

クライミングを教える立場と心構え

しばらくしてミライちゃんはまた登りに来てくれるようになりました。週に一回程度ですが回数を重ねるごとに成長していく。単に登れることだけでなく、恥ずかしがり屋で内気だった子が自信に満ち溢れた表情を見せハイタッチを求めてくるほど明るくなっていました。毎回欠かさずに続けたぶら下がりも気づけばお父さんを超えてしまうほどに成長、本当にすごいです。

これらかの成長が楽しみと思っていた矢先、お父さんが転勤に。突然のお別れにとても悲しくなりましたがこればかりは仕方がないこと、ちゃんと笑顔でお別れしよう。迎えた最後の日、ミライちゃんが手紙を書いてくれました。
 
「つちや先生、今までボルダリングを教えてくれてありがとうございました!スラブがいちばんたのしかったです。これからもボルダリングがんばります。」

目頭が熱くなる、お別れしたあとは自然と涙が溢れてきました。クライミングを教える立場としてこんなに嬉しい言葉はないです。ほんの少しだけミライちゃんの成長の支えになれた気がします。”登ることの成功体験が達成感や自己肯定感を育む”それを伝えられる今の立場はとても幸せなことなのかもしれません。たった一人の女の子が僕に教えてくれました。

ありがとう。小さな体を誰よりも大きく使い、高い壁を登りきれるミライちゃんは僕にはとても勇ましく見えました。これからどんな壁にぶつかってもきっと乗り越えられます!

こんな僕を先生と呼んでくれる子供達の為にもいつまでも憧れられるような存在でありたいと、そう強く思います。

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